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隣家への配慮ある設計

先日完了した「松美台の家」の設計についてです。

敷地は北側(海側)へ向かって下る住宅地の一画。

初めて訪れた時の印象は、

周辺の敷地に比べ広く90坪あるため、「ゆったりとしているな」と。

しかし、次第に「難易度高いな〜」へと変わっていきました。

 

南側隣家は2mの擁壁の上に”聳え立ち”

一方北側は50cm下がり、境界近くに建つ。

一見、ゆったりとしているようで、実は全然そうじゃない....

 

当たり前に南側に大きな開口を設けても

擁壁をみて暮らすことになるし

陰る時間も多い。

 

南側の距離をとって、北側に寄せれば、

北側隣家に陰をつくる....

北側にお住まいの方にとっては、迷惑な話だ。

法律上は問題なくても、それはやはり違う。

 

そこで、敷地を眺めながら、

「北側隣家への光を遮らず、視線の抜けのよい開放感のある」家にしようと決め、

設計をスタートさせたのでした。

 

まずは、模型を使いながら、ボリュームや形状の検討。

敷地の傾斜や周辺の建物に対して逆らわない素直な形は?

片流れか、三角屋根か。

 

さて、採光は?

”南側の高い位置の窓から、光を落とし

足りない分は天窓で補おう”

 

視線の抜けは?

”隣家の外壁を直視しながらは暮らしたくない”

”中庭が良さそう”

”家と家との間を狙って窓を配置しよう”

 

などと思案を繰り返しながら

”中庭のある家”となる住まいの設計を終えました。

今月末に着工し、11月に完成予定。

 

この「松美台の家」は、

”建売らしくない”建売住宅を提案している「株式会社とちたて」との

協働プロジェクトの一環です。

完成後しばらくは、モデルハウスとしの活用を考えているそうなので

ご覧いただける機会がありそうです。

 

 

以前にも「松美台の家」と同じように、

隣家への配慮をもとに設計した家があります。

風景に住む」(長野県小諸市)です。

 

隣家は別荘

そのデッキテラスからの視線を極力遮りたくない。

そこで、半地下にし、建物のボリュームを抑える

見付面積を小さくする、など

”風景を一人占めにしない”を設計コンセプトとした住まいです。

 

今もこの別荘は空き家になっていないので、嬉しいです。

この設計のお蔭かは分かりませんが。